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(4) アメリカから海外への広がり

アメリカの国防総省から始められたCALSだが、アメリカ政府がCALS標準の採用を積極的に進めたことから、各企業のCALSの導入は一気に進んだといえる。又、アメリカの動きを追って、ヨーロッパ、日本、東南アジア各国でもCALSを推進するための団体が発足し、様々な研究や実践を進めている。

 

アメリカは、1990年代に入ると国防総省や商務省だけではなく、エネルギー省や運輸省、NASA(航空宇宙局)など、国をあげて本格的にCALSに取り組み始めた。

又、CALSの取り組みに関連した活動として、すべての政府調達業務の電子化への対応指示が行われている。アメリカのクリントン大統領は、1997年1月以降は、アメリカの連邦関連機関の10万ドル以下の政府調達をすべて電子商取引によって行うことを発表した。すなわち、アメリカの政府調達に参加しようと思えば、電子化への対応が必要となってくるのである。それはアメリカ以外の企業においても同様の条件である。

一方、アメリカの動きを追って、各国でもCALSの研究及び取り組みが開始されている。特にヨーロッパでは従来から取り組んできたドキュメント管理の取り組みであるAECMA(欧州における航空の産業協会の総省)1000Dと製造関連の取り組みであるAECMA2000MなどCALSに類似した取り組みから派生する形としてCALSに積極的に取り組んできた。ヨーロッパのCALSコンソーシアムは、ヨーロッパ産業界の競争力を維持・改善するため、CALS情報の提供と助言、未参加グループヘの啓蒙、調達実施機関に対するコンサルティング、標準化政策の推進などの活動を行っており、国際的活動にも積極的に参加している。

日本では、1990年の日本電子工業振興協会(JEIDA)のCALS研究会での検討から始まり、CALS推進協議会や各省庁の研究会が発足している。又、政府主導や企業グループの共同研究としての実証実験も開始しているが、実用システムとしての本格的な導入はまだ見られない。

東南アジア各国においても、CALS・パシフィックの持ち回りでの開催などによって盛り上がりを見せている。とりわけシンガポールは、アメリカのスーパーハイウエイ構想のモデルになったほど、政府の情報化投資は進んでおり、CALSへの取り組みも最も早かった国の一つである。又、台湾や韓国、オーストラリア等でも、政府機関や大学においてCALSの推進が進められている。

 

 

 

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